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木のおもちゃ.jp HOME > メーカー訪問記 > 2004年ケラー社訪問記

ケラー社への訪問

  • ケラー社
  • オストハイマー社シューレ社長

ゆったり時間が流れる街にあるケラー社

フランクフルトから南へ200km程にある大都市、シュトゥットガルト近郊のゆったりとした時が流れるデュルナウの町に、キンダークラム・ケラー社(以下、ケラー社)とオストハイマー社はありました。

まずは車でケラー社へと向かいました。 2002年にキンダークラム社(KINDERKRAM)がオストハイマー社の傘下となったこともあり(詳細は下記参照)、オストハイマー社社長シューレさんとケラー社社長コーンさんが迎えて下さり、ケラーの試作品が展示してある物流倉庫で、ケラー社の歴史と哲学を教えていただきました。

飽きられることなく、子どもたちが繰り返し使ってくれるケラー社の玩具は、シンプルで美しいデザインと堅牢な作りが特徴です。

ケラー社(KELLER)について

  • 代表作木馬のペーターなど
  • シンプルで美しいデザインのケラー社のおもちゃ

苦難を乗り越えて 今もなお愛され続ける

ケラー社は1864年、シュツッツガルト近郊のゴッピンゲン(Goeppingen)で設立された長い歴史を持つドイツ有数のメーカーです。1954年に3代目社長オイゲン・ケラー氏の娘婿であった教職のコーン氏が4代目として経営に参加し手腕を発揮。木馬ペーターのデザイナーである彫刻家のシュバーン氏(Hermann Schwahn)と出会いケラー社の全盛期を築き上げていきます(今日も使用されているロゴもこの年に生まれています)。

1990年、ケラー社は大きな転機に見舞われます。 後継者不足(3人の娘さんがいましたが…)により他社とのライセンス契約による生産(品質管理はケラー社)をはじめることになります(川の水力を使った戦前からの設備が使われてた工場を近代的にするには膨大な投資と後継者が必要なため、コーン社長は製品の品質を管理しながら、ケラーの商品を後生に残す道を選びました)。

2つのメーカーとの協力関係を経て1994年、キンダークラム社(Kinderkram)がケラー社の生産メーカーとして本格的に生産に取り組みますが2002年、そのキンダークラム社がオストハイマー社(Ostheimer)に吸収される形となって今に至ります。苦難の道を辿ってきたケラー社ではあるものの、誠実な仕事で定評のあるオストハイマー社はケラー社の信念である良いもの作りに徹する数少ない企業でもあり、傘下に入ることで、ケラー社の商品は今後も世界中の子どもの手に渡ることでしょう。

ケラー社のおもちゃ哲学

  • オストハイマー社
  • 樹齢50〜120年の部材
  • スペシャリストの職人による色付け

丈夫さ・商品寿命の長さ・安心、安定感・機能的で修理できること・価格に見合う価値

残念ながら現在、木馬のペーターをはじめとしたケラー社商品は、ニュールンベルグ近郊の工場で生産され(一部、ポーランドで組み立て)、オストハイマー社で仕上げと調整を経て日本へ輸出されているため、生産部分を見ることができませんでした(涙)。4代目コーン社長はおもちゃ業界の重鎮として、高齢にもかかわらず、ますますお元気で広く活躍されています。

ケラー社を後にした僕たちは少し車で移動し、熱狂的なファンをもつオストハイマー社へ向かいます。 独特の味わいを持つ、手作りの木製ミニチュア動物で有名なオストハイマー社はシューレ社長をはじめ、約50人の従業員と約150人のハイムアルバイト(個人下請け)を抱えるドイツ有数の木製玩具メーカーです。 広い木材倉庫には丸太から板にして、乾燥機で6週間かけて水分含有率10〜12%に乾燥させた、樹齢50〜120年の部材(主にドイツ産の楓や楡)が所狭しと並んでおり、この部材を使って木彫りの人形が出来上がっていきます。

一連の流れとしては、部材カット→下絵→切り取り→やすり→バフ→絵付け→オイルとなり、材料になってから多くのプロフェッショナルの手を経て、年間に120万個程度生産されています。それぞれの工程は熟練のマイスターによるものですが、特に色付けの職人は、オストハイマー全アイテムの濃淡から微妙なラインまで、詳細な絵付けができるスペシャリストでした。 仕上げに使うオイルは、安全なクルミやシェラック(蚕から取れる液体:木についている)を使用しており、独特の風合いが人気の秘密です。

多くのスタッフの勤務時間は一般的なドイツの労働者と同じく早朝の7時からで、夕方には家に帰りのんびりと家族で過ごすそうです。ケラーの8人乗りバス(非売品)を頂いてオストハイマーを後にしました。