現在、イマーゴなどをデザインするネフ社のチーフデザイナー「ハイコ・ヒリック」のデビュー作。
1994年、当時大学生だった彼は研究課題としてこのレインボウを作成し、1996年にこの作品で念願のネフデビューを果たしました。

クラーセンのキュービックスや セラの力強い直線とはまた違った曲線の妙技が素晴らしいです。
虹の形をした遊具はこれまでにもいくつか発表 されてきましたが、数学的な原理と工業性を持ち込んだ完成度の高さが評価された傑作でもあります。

高さ3cmのパーツ9種類（9色）で構成されたこのアーチ形の積み木は、バランス要素の強い構成積木として遊ぶことも出来ますが、同時にネフの積み木の中でも特にオブジェ要素を強く含んでいると思います。
もちろん積み木には、これといった遊び方の指標はありませんが、きっかけとしてパターン表にある芸術的なオブジェをつくってみたり（バランスのコツを掴めば誰にでも簡単にできます）、キュービックスなどと同様に独自の創造力を活かした造形が楽しめます。

この積み木の最大の特徴は「揺れ」です。
積み木は安定した状態（机や床の上など）で遊ぶものという常識的な概念は取り払われ、アングーラなどに見られるバランス要素とも違っています。
様々な表情を見せてくれるこのレインボウは、奇想天外な形や新たな積み方の発見が多くあるのが魅力の１つでもあり、美しい虹のような色彩もリビングや玄関、家のちょっとしたスペースに飾ると、家に帰るのが楽しくなるかもしれません。
また、付属のスティックを使って木琴のように（音階は正確ではありません）素朴な音で遊ぶことも出来ます。置き方によって音が変化しますので、色々と試してみてください。

実はこのレインボウ、発売された翌年（1997年）にドイツの玩具見本市で「木製おもちゃのデザイン賞」にノミネートされた35点中第１位に輝いており、さらに翌1998年には、各界で賞を得た優れた工業製品だけがノミネートされるドイツ最大のデザインコンペ 「bundespreisproduktdesign1998」において、最優秀の５点の中に選ばれました。
この受賞はネフ社だけでなく玩具業界にとっても栄誉ある出来事と言われています。